雛祭りにおもう そのⅡ by マサコ |
大和の国に
人ふたり
ありとし思わば
何をか嘆かむ 巻13、3249
中学生の頃 、この万葉集の歌をグールドの事に思って親しんでいた。
もしもグールドがふたりいれば、私はこんなに苦しまずに済むのにと思いながら。
その頃、万葉集は字ばかりで(当たり前)なんにも面白くないものだった。
ところが昨今、テレビで、美しい風景と共に歌の選者達の解釈や感想を参考に出来ることとなった。
林望さんは、この歌には「もしもあなたが二人いれば一人は自分の所に来てくれるであろう」という願いが込もっている、とおっしゃる。
今日、グールドはファンの数だけいる。
そしてファンは、グールドは確実に自分の所だけに来てくれていると信じることができる。
紅葉賀の
彼方の國に
具宇ふたり
ありとし思わば
何をか嘆かむ
こんな安っぽいコピーのグールドではなく、ファン達が求めたCDその他の売上金で、グールドが生前気に掛けていた殺されるべき犬たちまでが救われている。
京都市在住の有識結髪師 南登美子さんが選んで下さった丹生女王 にうのおおきみ 40才の時の歌。
高円の たかまどの
秋野の上の
なでしこが花
うら若み
人のかざしし
なでしこが花
私はこの世を去れば、グールドのお墓のゴルトベルクの楽譜のシャープの所に居を構える。
そしてグールドを本当に愛する人だけに見えるナデシコの花になろう。
そんな願いがこの歌を見つめる度に沸き起こる。
そうすれば光源氏の真似をした若きグールドが、髪の毛に花をさして、遊んで下さることでしょう。