書評 評伝「井筒俊彦 叡智の哲学」&「住まい作りのウソ・ホント」 byマサコ |
伝道師は71才になる兄。
食事とお菓子を差し出せば、心臓の調子の良い時は、朗読サービスもある。
第1章では、ディオニュソスへのまとめがすごい。
ついで、ピュタゴラス。さらにはプラトンとアリストテレスの違いなど、とにかくよくわかるように説明していく。
哲学の常備薬として手放せない本。
49ページの
「哲学が、その淵源に密儀宗教を有し、『オルフィズム・ピュタゴリズム』、プラトンを経てプロティノスの時代に至ってもなお、学問であるよりは一個の霊性だったことは先に触れた」
に至れるように、ニーチェやグールド、詩が好きな私にはワクワクものの内容である。
勿論、シャーマニズムの人生を歩んだ者には、福音の書である。
ついで柳宗悦が紹介される。
井筒氏は1914年生れの30数カ国語に精通していた天才。
井筒さんと柳宗悦の接点が56ページ、アラビア人の眼と泉という言葉が伴って現れる。
言葉といえば「エラノス」を初めて知った。古典ギリシャ語の一種独特の『会食』を意味する「ポットラック」の意味が楽しかった。
手作りのポットラックで、こんなお話をしたら、どんなに楽しいかと思える。
要するに、まず「食べ物」がないと人間はまるで駄目。
料理は哲学であり、詩。
食べ物を分け合うことが愛の原則。すべては「ごはん」に始まるのダーー。
井上まるみさんがご著書を贈って下さった。
柔らかい声音の、透明な吉野葛の中に必要なことが沢山入っている本だった。
我が家の台所は1993年に井上女史が作って下さった。
毎回、毎食ごとに手作りが好きだった私には、神さまからの贈り物のような台所である。
このたびの本の、住まいにはタタミ部屋を残したほうがいいとか、トイレにドアが2つあるのは便利というご意見には、私自身も思っていたことだった。
トイレを通路にしたり、どちら側からでも入れるアイディアは本当に楽しいと思う。
頭の中で幾つもの家を建てていた私には、考えが同じで嬉しかった。
鍵のトラブルがあるかも知れないが。。
住宅は服装と同じで、各人の見栄や流行、あるいは他人にどう映るかで左右されることが多い。
「そうじゃなくて、こう考えてみたら」と、搗きたての餅のように思わず頬張ってしまう「住めるお家」への案内書。