在日コリアンの回答 その3 |
個々の質問事項一つをとっても、詳しく表現しなければ、日本人には理解できずに誤解を招く恐れが、多分に生じる可能性が高く、誠に申し訳ないのですが、時間の都合もありますので、抽象的に簡潔に回答させていただきますので悪しからずご了承くださいませ。
1. 在日朝鮮人について一般的な説明をして下さい。
帰りそびれている間に、国籍選択権と帰国の保障すら与えず、一方的に外国人として仕立てあげ、放置し続けてきた状態で、日本に生活を余 儀なくさせられている人々のことをいう。
2. ご自身が在日朝鮮人であることについて語って下さい。
当り前のこととして国籍が本来あるとするならば、日本の中での在日 韓国・朝鮮人とは、まるで当り前のように否定されるべきものとして日本人の中で家庭教育され、民族教育を保障されたことがない両親の許で育った子供が、ただ親の国籍がそうであるということだけで、子が親と世間を見て、誇りを持って成長することができるのであろうか。
私にとって在日韓国・朝鮮人とは、奪われたものを取り返し、人間尊厳を取り戻していくための「シンボル」であり「十字架」であり「生き方」そのものである。
3. ご両親が朝鮮から日本に住むことになった経緯について教えて下さい。
侵略されてまもない 1923 年に日本で父が生まれ、母は祖国で生まれ歳のころ日本に渡航して来ました。
両親ともに、祖父母が日本で生計をたてるために、家族ともども日本に渡航してきたのであり、しかも「日本人」として 1945 年まで、一貫して日本で、選挙権、被選挙権も有しながら、納税もして生活していたのであります。
4. 現在のご家族について
妻と子供3人の5人家族です。
5. ご実家での民族的な教育は、どうでしたか。また現在、どのようにさっていますか。
両親は一貫して日本人になるための教育しか受けておらず、父は、日本人として赤紙を貰い、村から「万歳」のもと参戦しております。戦後帰りそびれて、日本での生活を余儀なくされ、朝鮮半島の情勢と、外国人管理取締の政策の節目ごとに、私たち子供の人生を思案し、6人の子を、民族学校、あるいは日本の学校にと進学させています。
6. ご両親の教育方針について思い出深いお話しがあれば1つ2つ、何か話して下さい。
特になし。
7. 日本、日本人、日本文化について、感じておられる事を述べて下さい。
家に例えれば、基礎工事に手抜きがありますので、何かあれば非常に 弱い。外来文化の消化吸収には、すばらしいものがあり、世界で群を抜きかけている。
集団、会社、全体、平均を重んじるあまり、個々人の人格形成、市民社会に成熟が見られず、形、表面だけの幸福に満足しており、精神的な真の意味での幸福感を享受できないでいる。
社会参加せずに、ヒマを持て余している人が、本当に多いのには驚くと同時に、日本社会の先が案じられます。
8. ご自身が朝鮮人であることを意識なさったのはいつでしょうか。
6、7才の頃
9. 日本人になりたいと思われた事はありますか?
否定的に生きていた中学3年生の頃までそんなことを感じていました。
10. 今までで1番悔しかった事は何ですか?
6、7才の子供の「こころ」に両親がともに持つ祖国朝鮮に対して、 マイナスイメージを植え付けた日本社会の「風土」を、私は、許せないと思いました。
11. 最近の日本人の在日社会に対する変化をどう受け止めておられますか。
1部の日本人有志の努力の賜物だと感謝しています。ただ、文部省教育の中に正しく反映されず、また、十分な教育的努力が全くなされていないので、将来を案じております。
12. お子さんへの夢、願いを語って下さい。
韓国・朝鮮人という個性を普通のこととして受け止め、日本で生まれて、育ったということを誇りにしていけるような子供に育てたいですね。
13. この頃、考えておられる事を教えてください。
民族差別は、差別する側の日本人の心の問題であります。失礼な言い方になるのですが、先進国の中では社会資本整備が、最も遅れている日本は、まだまだ、豊かではありません。
早く豊かになって、生活にゆとりの時間を持ち、「心にゆとり」を持ってもらう中で、民族差別解消に努力していただきたいと考えています。
14. 人生のモットー、ご自身の目指すがゴール、その他、地球社会に望むことを教えて下さい。
モットー いつも心に太陽を!
いつ死すとも悔いなき毎日を!
出会いを大切に!
目指すゴールなんて、考えたこともありません。暗中模索中です。
15. 在日に生まれてよかったと思っておられますか。
(イエスでもノーでも理由を聞かせて下さい。)
文明は、偉大な先達の「なぜ?」の解明から始まったのではないかと考えています。
私にとって「在日」とは、全て「なぜ?」につながってしまうのです。私に飽くなき「なぜ」を与え続けてくれる「在日」は、良きにつけ悪しきにつけ「大切」なものの一つであり、元気を与えてくれるものであります。
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