ナダシン byマサコ |
箸とれば
母の味ふり
なつかしき
明治の香り
ほのぼのと
して
ナダシンの包み紙に書いてある文字。
「味ふり」とか「ほのぼの」に心が安らぐ。
もうひとつ、「明治」が大きい。
明治21年生れの祖母のお陰で、ラジオ講座を聴いていて夢を拡げることが出来た子供時代。
今もボケを抱えつつ、励んでいる私の生命の生活習慣。
ナダシンとは、おこわやおはぎ、おまんじゅうを売っているお店の名前。
確か先代社長夫人がヨーロッパ旅行中に行方不明になり、息子さんが数年かけて、汽車の線路づたいに歩き続けて、ついにご母堂を発見されたという記事に心を揺り動かされた。
お店の前を通る時、いつも母上と息子さんの物語として思い出す。
淡い淡い美しい味。
人に尽くすだけの欲のない、品のいいお母さんの味が身体を包む。
甘くないお菓子の数々。
やわらかく、えぐい心のない、美しい味。