我が愛しの「実践ビジネス英語」 byマサコ |
語学の勉強法は人さまざま。
私の場合は多くの人と同じNHKラジオの語学放送である。
しかしその利用法は、みなとは違っていると思う。
1991年から長い間、ビジネス英語の放送時間に合わせてラジオを聞くことがほとんどできなかった。家事の合間の5、6分くらいの時間を使って、テキストを見るだけだったのである。
ラジオを聞かないのに、92年93年のテキストは、時どき買っていた。
その頃は放送時間も20分で、今より5分長く、テキストには例文を並べてある詰め込み式の内容だったなぁ。
現在放送時間が9時15分−9時30分になり、FM放送と重なって残念だけど、昼や夕方よりは聞きやすい。いっその事、朝7時くらいだともっといいかも。
2015年4月からの「実践ビジネス英語」の “ Say What You Mean ” は知らない間に多くの成果を与えてくれた。
杉田敏先生はテキストの利用の仕方として、
「『今回の内容』というコーナーをまずよく読んで概要を理解してください。
この段階ではビニエットの英文は読まないでください」
と書いておられる。
耳の訓練を大切に思っておられるのだろう。
でも放送を聞いていない当時の私は、耳で聞くことなしに、まず英文だけを読んで、クイズを解こうとした。英文の意味がほとんどわからない時は、初めて日本語を読んでみる。
先日、2014年7月号のテキスト Senior Moments(5)で劇的な体験をした。
「〜but being forgetful can be < a blessing in disguise > 」
という文章について、Daily Excersise の正解は、
An apparent misfortune that is really beneficial.
であった。
最初は< a blessing in disguise > を「変装した祝福」としか訳せなかったので、私は、全体の意味が全く掴めなかった。
しかし正解の「明らかな不運であるが、本当に有益なもの」を見た途端、全てがキラキラ輝いた。体が宙に浮き、心が満たされた。
巡り巡った64年の人生の間に、心の中で理不尽な想いや悔しさを消せなかったために作り上げた大きな岩がある。
その岩は、光を通すはずの戸や窓を塞いでいた。それが全身全霊で訳し、悩んでいる間に少しずつ動かせたのだ。
ところでテキスト邦訳の「忘れっぽいというのは、見方を変えればありがたい場合もあります」は想像を絶するものだった。
太宰治も「忘却は人間の救いである」といっている。
少しも物にならないとはいえ、他国の言葉を学ぶ喜びは、こんな小さな発見にあるように思う。