シクラメンの香り byマサコ |
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2017年 12月 31日
私には生命と人生の恩人である医師が、常に心に住んでいて下さる。 薬を滅多に出さない名医だった。 最後にお目にかかったのは、風邪で寝込んでいる母を往診して下さった時だ。 その年に父が亡くなったことをご存知だったのか、母に 「お勤めですか?」と質問なさったことを 母は深く受け止めて感動していた。 人がむやみに働けば、病気になることを案じて下さっていたのだ。 先生が家の建て替えのために移り住んだ狭いアパートの台所を通って、 玄関に出られるのをお見送りした20歳の私は、 先生に子どもの頃、お世話になったお礼が言えなかった。 そのことをずっと悔やんでいたが、45年振りにようやく、 お礼と共にシクラメンの鉢植えを眼科医になられたお嬢さんに 人に頼んで届けてもらった。 人に感謝を伝えること。 20歳にもなって、感謝の気持ちを伝えられなかった未熟な私が恥ずかしい。 今日あるのも、先生のおかげである。 先生は刺激に弱い私のことを見抜いていて、母に、 「盆栽でも世話する生活をさせて、この子を育ててごらんなさい」 おっしゃっていた。 「太陽に当てないで、北風に晒さないで」の生活指導が、 どれだけ的確であったか。。。 先生は「嵐が丘」に登場する病弱な少年のことをご存知でいらしたのだろうか? 先生はお花よりも私の感謝の言葉を喜んで下さったと思う。 眼科医のお嬢さんは 「今でも父の事を言って下さる患者さんが来院されると、 時々、辛くて辞めたいと思うこの仕事を続けようと、勇気を得ます」 とおっしゃったそうである。 来年も皆々様の健康が守られますように。 *****************
by grpspica
| 2017-12-31 23:59
| グループスピカ
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