国を守るシリーズ2 |
ノリコの論点整理を読む
加賀乙彦氏(B)
○真の独立国になるために九条を変えて日本も軍事力を持つべきだ。
1929年生まれ、陸軍幼年学校3年生のとき16歳で敗戦。「戦争で死ぬことが名誉」「当然19歳ぐらいで戦死するもの」「アメリカやイギリスは鬼畜米英」、そんな価値観の否定→大人に対する不信感
一方で、戦争はもう心底嫌だった→戦争が終わった安堵感→憲法で日本はもう戦争をしないと知ったときは大喜びし、戦争放棄を謳った第九条は、日本の誇りだと思った。
しかし現在は、九条を変えて日本も軍事力を持つべきだと考える。アメリカとの関係において、今の日本が真の独立国とは言えない状況にあるからである。
○日本がアメリカに従わざるを得ないのは安全保障を頼っているから
(朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、「9・11テロ」後のアフガニスタン攻撃、イラク戦争など、この半世紀の間に起きた大きな戦争を常にリードしてきたのはアメリカ。多くの米軍が出撃した基地は日本にあり、日本はこの5つの戦争の協力者だった。
アフガニスタンやイラクへの自衛隊派遣は、日本という国にとって大きな恥である。
イラク戦争は、今ではアメリカが間違っていたことは誰もが認め、一般市民が今も殺されている。その間違った戦争に、日本はアメリカに言われるまま加担したが、日本政府は今でもアメリカの間違いを指摘できない。
ここまでアメリカの顔色をうかがう最大の原因は、日本の安全保障の大部分がアリメリカに任せであること。その象徴が沖縄を筆頭に日本各地に存在する米軍基地。
日本という独立国に他国の軍隊がたくさん居座っていて、治外法権がまかりとおる基地があるのは、どう考えてもおかしい。
米軍基地の全面撤廃と日米安保条約の解消をすべきである。
反論その1:「日米安保と在日米軍基地のおかげで日本は安全」→むしろその逆だ。日米同盟に頼りすぎるばかりに、本来なら参加しなくてもいい戦争に協力させられ、米軍基地があることによってその地域の治安は悪くなり、テロの標的になる可能性もある。いいことなどひとつもない。
反論その2:「いざとなったとき日本を助けてくれるのはアメリカだけだよ」→アメリカをそこまで信用していいのか。日本に核ミサイルが落ちるような状況になったとき、アメリカ軍はあっという間に退くだろう。アメリカは、自国の利益にならない戦争は一切やらない。イラクと違って石油資源もない日本のために、アメリカが血を流すことは考えられない。
イラクですらあれだけ反対の声が挙がっているのだから、日本のためにアメリカの若者が死ぬことをアメリカ世論が許すとは到底思えない。アメリカに頼っていれば日本は安泰なんだという幻想を、もういい加減捨てないといけない。
独立国とは何なのかを考えたとき、他国の軍隊に出ていってもらい、そのための条約を破棄するという考えに行き着くのは当たり前の話で、それを現実的でないと頭から否定するのは、独立国としての日本を否定するようなものだ。)
○日米同盟破棄・米軍撤去後の防衛は自分の力で国を守る
憲法9条第2項に、戦力の不保持と国の交戦権の否認が明記してあるが、独立国が自国を守るために陸海空軍を持つのは当然で、相手が攻めてきたら交戦権を認めるも認めないも関係なく反撃せざるを得ない。
自衛に限った交戦権を認め、そのための最小限の軍隊を持つことをこの際、憲法に明記すべきである。
自主防衛となれば、今よりも当然防衛費が増える。戦後日本の繁栄は軽武装・経済中心でやってきたおかげだと言われているが、それは間違いだ。
(朝鮮戦争やベトナム戦争の特需景気で日本は儲かったが、湾岸戦争では国民の税金を約1兆円も出し、その後のアフガン攻撃やイラク戦争ではお金だけでなく人員の供与までさせられている。これにアメリカから購入している兵器を加えると、出費は多大なものになる。
つまり、自国の防衛をアメリカに任せてきたことで、協力しなくてもいい戦争のために莫大なお金を支払わされてきたのが事実だ。)
○しかし核武装はしない
日米同盟の解消で、いわゆる「核の傘」から日本は離れる。
北朝鮮の核・ミサイル問題が報道されるたびに、日本の核武装論議が持ち上がるが、「向こうが核を持つのなら、こちらも核で対抗すべき」ではなくて、「私も持ちませんから、あなたもやめなさい」。
6ヵ国協議が進展しないのは、核のダブルスタンダードのせい(「おまえ(北朝鮮)は持っちゃいけないけど、おれたち(アメリカ、中国、ロシア)は持っていい」、インドやパキスタンには保有を事実上認めるのでは、北朝鮮が納得しないのは当たり前。)
原子爆弾の被害者の脳は、悲惨な状態で、とくに若者や幼児の脳は徹底的に破壊されていた。この私の体験から、理屈に関係なく核兵器を廃絶しないといけないと思う。
日本は、先頭に立って核廃絶の動きを広めていくべきであり、憲法にも大量破壊兵器の廃絶、とくに核兵器を廃絶すべきだということを明記する。
戦争をしないということだけでなく、戦争の方法についても残虐な大量破壊兵器や核兵器などを保持しないことを日本のメッセージとして全世界に向かってアピールすべきだ。
○私の考える自衛隊や憲法のあり方を憲法九条に明記すると
第1項 日本国民は、自衛にかぎつてのみ交戦できる陸海空軍を保持する。ただし、核兵器等の大量破壊兵器の生産・保持は永久に放棄する。
第2項 日本国民は、わが国に外国軍隊の基地は永久に置かない。
UtakataさんのB氏に対する意見 :
核武装に関する事項以外は、正論、
特に、「今の日本が真の独立国と言えない状況にある。」や「核のダブルスタンダード」の発言はご指摘のとおりだと考えます。
ただ、核武装になると、途端にB氏自身が述べておられるように、「理屈」が消えてしまうのです。では、核爆弾は駄目で、同じく1万人以上十数万人が死亡したとされる東京、大阪及びドレスデーンに対する都市無差別爆撃や、中国の主張する所謂南京大虐殺は認められるのでしょうか?
日本の軍事費は世界でもトップレベルです。
確かに空母などは持っていませんし、爆撃機も持っていませんが、その戦闘能力はかなりのものを現状でも持っています。
安保破棄・米軍撤退は可能です。そして今の自衛隊の位置づけをきちんとするだけで十分抑止力足りえると思います。
もし、軍備を放棄した日本に攻め入ってくる国があれば、国連も当然動くでしょう。国連軍と自衛隊で、今想定される仮想敵国は十分に壊滅させることができるでしょう。
でも一番大切なことは、「攻めさせない」こと=外交努力のはずです。
「日本を攻めたら、ウチの国がやっていけない」という人的・経済的つながりを深めることのはず。つまり「相互依存による平和の構築」が、日本の生命線だと思っています。