青春旅日記 その11 by 青丹彩 |
大竹(広島県)ー徳山南陽町(山口県)
晴。天気雨。風頌る強し。
9:15起床。彼は起きるや否や外に目をやった。晴である。安心した。
昨日は、宵闇と春雨でかすんでいた宮島は、本日は、春がすみでやはり、かすんでいた。
彼は軽く食事をとった後、出発した。
するとすぐに雨が落ちてきた。悲劇の主人公、彼、であった。雨と可成り強し北西の風は、彼の進行を妨げた。
そして10:53 山口県に入ったのである。
11:30 錦帯橋着。
彼は、国道をこのような美しい観光地に走らせた官僚のおくゆかしさ(?)を今度は感じた(尤も、ここを通す事が経費の面から都合が良かったのだろうが)。
錦帯橋は晴れていた。彼はこれがせめてもの慰めと思った。そして先へ進んだ。
錦川に沿って彼は登った。きれいな水であった。渓流のわきには、美しい竹林があった。竹林の間をぬって進むとまた雨、そして風。
12:15 錦川を渡ったところにあるシャレタ、ドライブ・インで昼食をとった。
13:00頃出発せんとすると外はあられがふきあれている。彼は構わず進んだ。
彼は濡れた。そして彼の手は、かじかんだ。下り坂になっても、急勾配の下り坂になっても、ペダルを踏まねばならぬ強風であった。
彼は、今日の旅は神に祝福されていないと思った。徳山のモーテルで暖かい肉うどんで身を温めた。そして17:30やっとの思いで防府市の少し手前の宿に落着いたのであった。彼は疲れた。この旅において最も苦しい進行であった。
明日の天気は晴という事である。
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