修道女モニカ by 原 真砂子 |
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2004年 09月 04日
クープラン作曲「修道女モニカ」は、ピアノ学習者によってよく弾かれる小品である。 プロのピアニストで聴いたのは、田中希代子さんの演奏のみ。この演奏は、田中さんの名演の中でも私のもっとも好む演奏の一つである。 Aセクションのトリルを聴いただけで、田中希代子さんが天才だとよくわかる。Aセクションは整っていて、田中さんのトリルの美しさが「形」として、響く。落ち着いて、明晰。修道女モニカの日々の生活ぶりもかくありなんと納得がいく。 ところがBセクションになると、にわかに空がかき曇り、ドロドロした人間のどす黒い感情が流れてくる。田中さんは美しい音の中に激しさを、慟哭を、暗い色調で流してくる。 心の中でこの曲を繰り返し鳴らしているといやが上にも、人間の「整える力」と、「自分を解き放ち、むき出しにしたものが流れる力」を感じる。 これだ。ニーチェのいう「アポロ的」なものと「ディオニュソス的」なものとは。 2000年は、ニーチェの没後100年にあたり、世界中で50以上の出版物が刊行された。その中の「白眉」とされる、リュディガー・ザフランスキーの「ニーチェーその思考の伝記」から説明を引用する。 「アポロは形式、明晰さ、堅固な輪郭、明るい夢の神、何よりも個性化の神である。彫刻、建築、メロスの神々の世界、叙事詩の精神——これらが全てアポロ的である。一方、ディオニュソスは解体、陶酔、忘我、無礼講酒宴(オルギアスムス)の荒々しい神である。音楽と舞踏が特に好まれる形式である」 芸術は人生でもある。 感情をむき出しにせず、にこっと笑って済ますのが「アポロ」なら、おどろおどろしい気持ちが内部でとどまらずに発散するのを感じる「ディオニュソス」も人の心というものだ。 大脳皮質の左右半球の異なる役割で、主要な言語中枢《アポロ》、非言語的な観念構成の《ディオニュソス》。「顕在意識と潜在意識」。「コントロールできるもの」と「コントロールしない(発散させる)ことによって抑制状態へと促す」この二つのものが人生、人間を生きるものにとって不可欠なのだろう。 楽曲形式のABA型は、我々の心のパターンかもしれない。簡単にいうとアポロは視覚、ディオニュソスは聴覚である。 ニーチェの言葉 「一切の存在の基盤である世界のディオニュソス的根底は、アポロ的な浄化力によって再び超克されうるぎりぎりの限度においてのみ、個別的な人間に意識されうる」 田中さんの「修道女モニカ」は、ニーチェの思想を音現化した極めて稀な演奏といえよう。 ************************************************
by grpspica
| 2004-09-04 16:45
| 音楽・美術・哲学・宗教
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