シュルツ著「第2短篇集から 春 21&4」 byマサコ |
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2022年 04月 06日
「衒学 = 知識や教養をひけらかすこと、 学者ぶること、知ったかぶりをいう」 こんな悪い意味の言葉だと深く知らなかった。 [宇田敏彦]衒学(げんがく)、衒学趣味。フランス語ではペダンチスムpédantisme。ペダンチックpedanticは形容詞形である。ペダントpedantは元来、教師をさしたことばであったが、教師のもつ一属性の気むずかしい頑固さや、知ったかぶりが強調されて、学問を鼻にかけ、気どって学者ぶったり、物知り顔をすることや、空理空論をぶって杓子定規(しゃくしじょうぎ)に規則にこだわる人を、ある種の悪意をもっていうことばとして用いられるようになった。 *「春 21」から 引用 p218 ビアンカ、世にも美しいビアンカが私には謎だ。私は切手帳を頼りに執拗に、熱心に --- そして絶望的に --- 彼女を突めようとする。まさか? 切手帳が心理学まで扱うとは? 愚問! 切手帳は万般の書であり、人間に関する一切の知識の総覧である。むろんそれは暗示的に遠回しな言葉で書かれているのだが。手がかりを捉えるために、ページを貫くあの燃える足跡、あの電光を見いだすために必要なのは、ある洞察力と勇気と機智である。 この場合、狭量と衒学趣味(ペダントリー)と無神経な字義どおりの解釈とは排さねばならない。すべての事柄はたがいに繋(つな)がり合い、どの糸口もひとつの糸玉に通じている。ある種の書物ではその行間から1群れの燕 --- 細く尖った震える燕たちの形づくる詩行の数々 --- が飛び出すのにお気づきだろうか? 読みとるべきものは、それらの鳥の飛翔である…… *「春 4」から 切手についての説明 p187 …… ひとことで言えば、天啓を待ち受けていたのである。その天啓が眩(まばゆ)いばかりに鎧に身を固め、ルドルフの切手帳から凛々(りり)しくも立ち現れようとは、誰に予見できたであろう。 それはさまざまな文明の鍵を解(と)く奇怪きわまる略号、数式、秘法であり、手ごろな魔よけ札でもあった、それらのなかに入り込めば、2本の指先で国々や地方の本質(エッセンス)をつまみ出すことができた。それはまた帝国や共和国、群島や大陸へ向けて振り出された小切手であった。皇帝たち、王位簒奪(さんだつ)者たち、占領者たち、また独裁者たちにとってそれ以上の何が獲得できただろう! 小さな切手から、その場所にくぐり抜けていけること。 シュルツの経験や感じる事は、今世紀に科学的に解明されようとしている素粒子・量子の世界である。 すでにバスカルの「パンセ」にこの世界が記されているとは気づかなかった。 俗にいう天才あるいは変人の中には、既に紀元前2000年位からこのことに気づいていた人もいるのではないだろうか。 人間は、本能的に物事の本質(たとえば素粒子の世界)に気づくが、世間的には受け入れられるのに時間がかかる人と、鈍感で本質に迫ることなく、欲得の世界に暮らし他人を支配し操ることに面白さを感じる人、の2種類に分けられるようだ。 ************************** #
by grpspica
| 2022-04-06 13:12
| 本の感想など
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2022年 04月 01日
78年前に阿波丸に乗船していて命を落とされた皆様に捧げます。 小松左京著「お船になったパパ」 短編集「宇宙人のしゅくだい」収録 昭和56年1月15日大冊 昭和57年7月20日第5冊発行 「だれがいちばんはじめにわたしたちをつくったかって?」もう型が古くなり、エンジンもいたんで、いつも、波のおだやかな港のおくにじっとしている年よりの船がいった。 「おまえたち、まだ、その話をきいていないかい?」 「まだだよ」と、みるからスピードのありそうな新しい型の、救命ボートたちは、年よりの船のまわりに集まっていった。 小松左京さんは、亡くなってまだ11年しか経っていません。 ショートストーリーとはいえ全文を引用するのは心苦しいので1部省略します。 このパパはお仕事が忙しく家で子供のお船になって遊んであげました。 普通のパパみたいに遊園地やピクニックに行けなかったのです。 ある日、造船所に行ったケンちゃんは、彼の願いを父親に言いました。 「ねえパパーー ほんとうにパパみたいに、ぼくのいうことをきいてくれるお船があったらいいな」 そこで、パパはロボットの電子脳を船につける研究を始めます。 そして完成した頃、病気になって死んでしまいました。 父親は死ぬ前に同僚たちに 「完成したロボット船にはいちばんはじめにケンちゃんとママをのせてやってくれ」 と頼んでいました。 このけんちゃんは大きくなってパパよりももっと偉い技師になり、 大好きな ”パパの船” をもっと立派なものにしようとします。 そして自分で考え、自分で動き回れる心あるロボット船を造りました。 「おや」若い救命ボートの1隻(せき)が、ピクンとマストの上のアンテナをあげた。 「どこかで人間をのせた船がしずみかかっているらしい。SOSがきこえるぞ」 「すぐたすけに行こう」ともう1隻のボートがさけんだ。 「波があらいが、みんながんばれよ!」 そういうと、若いロボット救命ボートたちは、いさましく波をけたてて、いっせいに港の外へ走りだした。 p83-85 (p84はイラスト) ************************************* #
by grpspica
| 2022-04-01 00:00
| 命・平和・人権
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2022年 03月 31日
私の家を間にして東と西に、3兄弟が二組住んでいる。 東の家からは、西にある駅から電車で国際学校に通う兄弟。 西の家からは、東にある地元の公立小学校に通う兄弟。 あるときあたりが夕刻になってるのも気がつかなかった私は 東の方からやってきた男の子に 「今からどこへ行くの塾?」と声をかける。 私の声を耳にした姉が 「おかえりじゃないの?」と言う。 私は目がよく見えない上に、サングラスをかけている。 子どもがランドセルを背負っているのにも気づかず、 間違って東の家から出てきたと思ったのだ。 しまったと思ったけどもう遅い。 30年前から太陽光線が苦しいので2つの黒い帽子を被り、顔も覆っている。 今のように紫外線よけのグッズが山ほど出ている時代ではない。 私は帽子2つが、そんなに目立つはずはないと思っていた。 しかし外を歩くと人が目を剥いてびっくり仰天しているのに気付く。 たまたま立ち止まって話をした人とその意外な視線に 「そんな目をして私の顔を見るのは帽子を2つ被ってるから?」と 聞きそうになったけども、黙ったのはよかった。 なぜなら、彼らにとっては、私の様相は「正常でないひと」そのものだから。 うっかり語りかけると、ポケットに忍ばせたナイフで襲いかかってくるのではないかという恐怖でもっと怖がるだろう。 「物言えば唇寒し」この表現はちょっと寂しすぎるわ。 ちょうど良い短歌を見つけた。 をさなさを 武器のごとくに黙しゐつ いまだ春なる夕映の色 中城ふみ子 ********************************* #
by grpspica
| 2022-03-31 11:40
| グループスピカ
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2022年 03月 30日
タグ:小松左京 ←クリックで記事一覧へ 小松左京は多作作家だから、うっかり関わるととんでもないことになりそう。 4冊目は本の文字・間隔が大きくとられているので、 縮み上がったセーターの本体の中に、極小文字が詰まっていて、 目を鋭いペン先のようにして一つ一つ読む作業を免れることができた。 「見えないものの影」には、四方八方に空間がある、行の間隔も大きく、 本を広げると大海原のようにゆったり机の上で収まる。 この環境の違いに私の神経は順応しそうで全くしない。 いわゆる、「気になる現象」が発生している。 「ねずみ」が人類を襲うSFの展開は、まず大量の時計が被害に遭う事件から始まる。 齧歯(げっし)類が嫌いの私にとって猫が主人公の小説を読むくらい違和感があるけれど、 齧歯類そっくりの人間が登場しなくて本当によかった。 引用 p53 それなら、良介おじのいうように、今度の犯人は、とけいに対して、偏執狂的な愛着をもつ大ボスが、手下に命じて、いっせいにとけいを集めさせているのだろうか?ーーおじのいう”泣くなにいさんよ”事件というのは、これは戦後実際にあった事件で、愛児を戦死させた、年老いたニセ札づくりが、子どもの霊をとむらう意味で、つくったニセ札の番号を ”泣くなにいさんよ” ーー797234とつけた、という事件である。 これは、犯罪に単なる利益だけでなく、犯人の偏執性がまつわりついている状態の1つといえる。 小松左京の作品は出だしも面白いけれど、中盤でもっと深くもっと高くなる。 この本はp109から物事の核心をつく流れとなり、沸き立つような感動を覚えた。 特にp182の立原博士の発言。 「みんな来るかね?ーー奇妙な細菌をばらまき、おかしな電波の大もとを発信していたやつの正体が見られるかもしれんぞ」 これは2019年秋あたりから沸き起こり、これからも続くであろうパンデミックと 通信を仕切る世界の一部大金持ちたちの、道楽に振り回されている現在の私たちの状態と少しも変わらないではないか? 聖書には、世界政府が成立するのを予言した言葉があるという。 今から50年前に予言的作品を次々に世に発表していた作家・小松左京。 その作品はシャーマニズムにおいても愛らしい威光を放っており、 私の生まれる前や70年の人生を祝福してもらえる感動に恵まれている。 ******************************** #
by grpspica
| 2022-03-30 00:00
| 本の感想など
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2022年 03月 29日
1977年3月25日第1刷 1977年6月15日第2刷 SFを読みたいと思った。 そこでほぼ生まれて初めて小松左京の短編集を手にする。 入手した6冊のうち、萩尾望都の表紙の絵に誘われて、まずは「夜が明けたら」を選ぶ。 SFらしいものはこの「夜が明けたら」だけだった。 最後の「長い部屋」は推理短編集。 残りの4冊には「小松左京はシャーマニズム作家」と思える作品が並んでいた。 「SFとは宇宙のことを話題にする」もので、「シャーマニズムとは無縁」 と考えていたから、これまであまり興味を引かなかったのでこれにはびっくり仰天。 私には飛び上がる出来事だった。 高級感漂う文体。 知識の豊かさや発想の飛躍が、工芸品のように気持ちよく並べられている。 小松作品で「家中、目に見えないもので満杯になる」ことも、 短編集に書かれているシャーマニズムのことも、 自分が体験しているから、手に取るようにわかる。 小松左京がこれだけのことを書けるのは、体験にもとづいているのか? それとも稀有の才能が「想像力」を養い、世界を拡げ、 私のような霊体質に生まれた者に対する理解力を深め、 名作が生まれたのだろうか? ご存命であればぜひその辺りのことを伺いたい。 余談になるが彼もまたブランディ好みで、作品に名酒が登場する。 推理作家・夏樹静子は膨大な小松作品を手当たり次第に読み、 この本に収められている作品の中から、彼女の好みの作品「真夜中の視聴者」について、 「SFを読んで涙が出ることがあるのを初めて知った」と語っている。 しかし以前から推理作家の夏樹静子の作品には、親しんでいたが、 テレパシー的な作品には出会った事はない。 彼女は霊体験が全くないのではないだろうか? シャーマニズムの世界に気づかない彼女ではあるが、 その他の感想は、どこをとっても完璧。 「小松左京ワールド」を深く理解していることがわかる。 共感を覚えることが多かった。 *********************************** #
by grpspica
| 2022-03-29 00:00
| 本の感想など
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