その作家 byマサコ |

大人はよく「そんな話は子供にはわからないから」とか「子供には無理だから」と大人の話を子供の前ではしない。
そんな事はないと経験から思える。
私が育ったのはTVが普及し始める頃で、病気のために自宅にいた私は、母が見る番組はほとんど見ていた。
文学の話では評論家が作家の話を。
作家たちも多く見かけるようになった。
木島則夫モーニングショーではデザイナーの発言、ゴシップ系の話題を仕入れた。
40−60代にかけて、事件が起る度に、その時聞いたことを突然、思い出すことが多い。
TVで美人といわれるその作家をよく見かけた子供時代、いつも言うに言われない気持ちになった。
美人とも思わなかったし、好き嫌いの範疇ではない感覚。
そのスポットを表現したくて、そして自分を納得させるにあるお話を作った。
「私が年を取る。美しい住宅街に住む。
周りには幸せな人、花、木、美しい鳥の鳴き声。
何より、私の心が何の不安もなく、気に病む人もいない。
今のように悩まない。
平和、そう、天国ってこんな所に違いない。これが天国だ」
近所の人がいう。
「この近くに、○○さんが住んでますよ」
たちどころに私は、
「この場所が天国であるはずがない」と思う。
この話を繰り返すと、妙に得心して心が安定した。
半世紀近く前のお話に、子供というのか、幼くても真実がわかることが実感出来る。