将軍と痴性 byマサコ |
坂上田村麻呂は、多分、人殺しの名人だったろう。
指名手配されるような人が、地位は高く、学識があり、
きっと風流で、最後は財宝に埋もれて弔われる。
昔、拝み屋さんに先祖供養で通ったことがある。
先生が塔婆の名前を「さかがみ」と読むので
いつも読み直してもらった。
田村麻呂は降霊して「けっこう、けっこう ガッハッハ」
と言っていた。
何も知らない土地に行き、そこで故人の伝説に接し、
英雄に憧れたことのない私は、
今もなんとも思っていないけれど、
自分の人生と別の所で鳴っていた音に気づく。
「今は昔」の日本語は、
「今では遠い昔のことになってしまいました」
が正しい理解のはずだけど、
今と昔の同時共鳴に心を打たれている。
娘の私が言うのは恥ずかしいけれど、
母は、愛情豊かな知性と優れた洞察力を持つ人だった。
知性と愛が混じりあう時、
地味で淡く、生き生きした光が
弱っている人へ投げかけられることを母から教えてもらった。
写真 咲き始めたルリヤナギ