再びの『色を奏でる』1 byマサコ |
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井上隆雄「色を奏でる」表紙
これは2002年に「色を奏でる」について書いた物です。
今又、マイブームでもあるので、アップすることにしました。
長いので3回に分けます。
この他にも 別ブログmy life with gg,にも書いています。
http://mhara21.exblog.jp/6218092
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「色を奏でる」は、人間国宝の志村ふくみさんと写真家の井上隆雄さんのコンビで生まれた宝石のような本である。
「野草の音色」 れんげ染め p29
志村さんの幻想的な、染色家織り手としての職人気質から流れ出ている世界と博識には本を手にする度に唸ってしまう。
友人に「好きな人が来た時には気に入っているお茶を出し、嫌いな人にはふつうのお茶を出す」と言う人がいるが、私も「この人にはダメだ」と思うと贈らない本である。それでもかなりの数をプレゼントしている。
音や数字に色を感じる。子供の頃からピアノを弾く事は「色の世界に遊ぶ」ことだった。機織りの経験はないけれど、ピアノは機織り機に思えるので、志村さんのお話が手に取るようにわかる。
作者は染めと織りものを通して、音楽と哲学、心象、人間の魂の染色についても奇跡を語る。
ガストン・バシュラールの「ニーチェと昇行の心象」の訳注によると「心象(psychisme)」はバシュラールの基本的用語の一つで「心的現象」の総体をいう。ame(たましい)、coeur(こころ)、esprit(精神)を包摂し、想像作用、象徴作用、概念作用をいとなむ心的機能をも意味すると考えられる。バシュラールの著書「蝋燭の炎」で、渋沢孝輔氏は、留保を付した上で、この語を「心霊」と訳した。「空と夢」の訳者宇佐美英治氏は「心霊」の「霊」という言葉は日本では、別の意味があり過ぎて、「象」の方にしたと書いてあった。
「緑という色」 p52.53