「北斗の南」を読んで byマサコ |
「北斗の南」は、原田伊織氏の著作「明治維新という過ち」~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリストの第5章「二本松・会津の慟哭」の中に書かれ た少しホッとするスポットである。
スポットというのは「場所・地点・現場・箇所・ポイント・小部分・小区域(主に米国では)・地位・立場」を意味するが、この日本の言葉がすべて 含まれる内容となっている。
原田氏は、リズム良く、熱意と誠意を持って、
「不思議だなぁ。どうしてそうなるのかなぁ?」と、
私が今までにおぼろげながら感じていた日本の様子を細かく分析する。
そして膨大な知識で「明治維新」そのものの誤りを指摘し、
「そして、私たちは、長州を核とする勝者の言に従いその後の時代を「近代」と呼び、
今日の行き詰まりを迎えているのである」
と著作を結んでいる。
多くの人々がグレン・グールドの演奏を聴いて、
「どんな人なのかなぁ?」と思うように、私は原田さんという方がどんな方なのか、
少女期に戻ったような興味を持った。
その点で、このページは著者がどんな心の持ち主かよく知ることができるように思う。
話は津軽のことで始まる。それで太宰治が登場するが、
太宰小論としても見事な出来栄えで、惚れ惚れしてしまった。
「明治三年(1870年)、この本州最北端の『荒涼たる』大地に、会津藩が藩ごと移住してきた」
で始まる史実の紹介は、美空ひばりの歌が登場して、リンゴに及ぶ。
そして、リンゴの名にも歴史が充分に紹介されて、私のように「スポット」を何も考えないで使う日本人に対しての攻撃も食らわせる。
最後に平成3年9月、台風19号の様子を書いた少年の作文が紹介される。この結びは、
「 りんごの落ちる音は、
お母さんのなみだが、落ちる音だ 」
こういう著者は、グールドのように信じることができる。