戻っておいで路面電車 by増田正幸 |
マルセイユ,モンペリエ,リヨン,パリとフランスを南北に縦断する旅でした。
行く先々に数百年あるいはもっと古い建造物がゴロゴロあって,美しい町並みと歴史と伝統の重みに圧倒されました。
TGVの車窓からの風景は一面の牧草地や葡萄畑でした。牛や馬以外に人の姿はほとんど見えず,まるで北海道のようです。フランスは有数の農業国でもありますが,自分たちが作った農産物や乳製品で暮らしていけるということが本当の豊かさにつながるのではないかと思いました。
モンペリエやリヨンはフランスでは大都市です(リヨンは人口130万人でちょうど神戸市と同じくらい)。しかし,街にはガレージのない古い建物がひしめいています。
日本のように車が流入すればたちまち大渋滞になり,沿道の環境も悪化します。そこで,登場するのがトラム(路面電車)です。トラムは専用軌道を結構早い速度で走ります。トラムに何度乗り継いでも,バスや地下鉄と乗り継いでも200円以下という低料金で,車を使うよりはるかに便利です。
その上,デザインが素敵で,古い町並みとスマートなトラムとが見事に調和しています。便利で安くて格好よければみんなが喜んで利用する。障害者や老人にも使いやすいし環境にもやさしい。トラムは経済的な合理性をもった公共交通のあり方だとあらためて感じました。
今の季節は6時から22時ころまで昼間なのでクタクタでした。料理の量が多いので腹はいつもパンパンでしたが,大きな失敗もなく楽しい旅をすることができました。