最相葉月著「ナグネ」を読んで byマサコ |

9月11日、「改正労働者派遣法」が成立した。
ファシストによって続々生み出されるデタラメな法律に苦しんで生きる日本の若い世代。
この本からは、恩恵さんの不屈の精神が伝わる。
朝鮮、中国、日本 の関係改善の基礎を構築するためにも日本人に読まれて欲しい本だ。
でも外国に行くことを旅行や遊びとしか考えない日本人に、どれだけ通じるかなぁ、
と思いながら、63才の私には、朝鮮、中国、日本間の歴史の復習になる話でもあった。
ナグネ(韓国語で旅人)という言葉は「異郷の客」的意味を持つのだろうか?
本書は、たった一人で日本に住み始めた19歳の朝鮮系中国人、その生活と人生を綿密に描き出している。
主人公の具 恩恵(グ・ウネ)さんは聡明で勤勉。
よほど守護神が高い人なのか、様々な試練に見舞われる。
この深く多彩な内容を、どんな人たちが理解できるのか、興味がある。
ここまで苦労し努力する人の姿が、果たしてどれだけの日本人に魅力的に映るだろうか?
731部隊について知識のない人々が何を考えて、読むのだろう?
40代でようやく日本の実像を知った私には、どのページも充実していて 読み易い。
深刻な内容でありながら、著者の軽やかな文体や気持ちが、爽やかな雰囲気で全体を潤している。
著者と恩恵さんの友情に心からの拍手を送りたい。