#1 Klapai にて思う by マサコ |
台北での空襲を逃れて終戦の年に25歳で長女を産むまで、母を包んでいた山や植物を、今回の旅で見ることができた。
Klapai の木の葉は、非常に細い。植物は折り重なるように互いを支えあい、組み込み絨毯のような美しさだった。
人を威圧するようなところがない趣に、いつしか心に浮かんだのは、田中希代子さんの世界だった。
上の姉は、田中希代子さんのようにさっぱりしていて欲がない。頭と性質が良くて、通俗的なところがない。
ふたりとも緑が好きな点もよく似ている。
山にも地上にも時々小さな花が咲いている。
この花の様子も田中さんのピアノの中に咲いている花と同じ。
そんな地味で優しい、出しゃばらない美しい風景。
バリリゾートは、歩くのが好きな人には嬉しい宿泊施設。
朝食へも坂道を上がる。夕食ともなると高いところに登らねばならない。
車で来れば上からすぐレストラン食堂に入る道もある。
ここでは自室で温泉に入れる、ただし15:00からだ。
泊まった小屋の上には、温度の違う水をたたえた温泉施設がある。
お魚に肌の角質を食べてもらう浅いプールもある。
いずれも温度は低め。夏ならもっと利用しやすいのだろう。
足を突っ込んではしゃいでいる目の前の姉の生まれた時の姿を想像する。
1歳5ヶ月の彼女は1947年の228弾圧事件の後、両親達とともに基隆(キールン)の港から引揚船に乗った。
前の晩港の倉庫に寝かされた幼児は体が冷えて、下痢が止まらなかった。乗船していた女医さんが1本しかないペニシリンを打ってくださって、今日がある。
ひとりひとりがこうしてこの世にいられるのは、奇跡の連続なのだと思う。
私としては、自分の病気であんなに母に苦労をかけなければ、母自身が台湾を訪れて家を訪問することができたかもしれない、と思わないこともない。
しかしそれは思ってもしかたがないこと。こうして兄と姉の4人で揃ってここにいる今があるのみ。
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ところが鎌倉で大暴れしていて大変になっているとのこと。
ニホンザルと違って気性が荒いそうですよ。
今度は姉の生まれた川べりの村に宿泊して昔を偲びたいです。 マサコ