松本清張への手紙(1) byマサコ |
桜の花が大風と雨に撃ち落された昨日今日、いかがお過ごしでしょうか?
早いもので小倉の清張記念館を訪れてから、一年が経とうとしています。
今日も又、あの自動販売機から、お好みのコーヒーを買って飲んでいらっしゃいますか?
訪れた人々を今にも小説の登場人物にしたく、しかと見ていらっしゃるお姿を想像しています。
さて、遅ればせながら「或る『小倉日記』伝」を読みました。
初期の代表作と言われ、1952年後半期の芥川賞を受けられた短編です。
続けて読んだ「父系の指」(1956年刊行)も大変な出来栄え。
硬質の申し分ない作品ですね。
益々、先生をお慕いするようになりました。
少女の日に、人間の心の弱さを表現される作家として震え上がった。
それだけの接点だったのに、昨年は奈良時代のお話「眩人」に触れ、
ここまで深く松本文学と結びつくようになった事に私自身びっくりしています。
私は数字が好きなので、20年位前、敢えて「数の風景」を選んで読みました。
そこには、九州のある同人雑誌の連中が、
「何を書いているか、さっぱりわからないので、こちらが見当をつけて読んでやらなければならない」とありました。
その頃、私が文を書くと、文中にある『頭』が、私の頭か、鮭の頭か、読む人がわからなくなるものを書いていました。
その同人誌の名前が「海峡」。
奇しくも私たち3姉妹で発行していたものと同じ名前でした。
先生には少しも面白くなくても、我々は涙が溢れるほど笑いました。
ところで、今の日本をどう見ていらっしゃいますか?
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