ウ・ミンイー連作短編集「歩道橋の魔術師」より 第2話『九十九階』感想 byマサコ |

今や40になった人たちのベジタリアンレストランでの再会から始まる。
名前も少学校の音楽の先生がつけたという「トム」、「マーク」、そしてポーラと呼ばれている「ロス」。
「なんだこのアメリカナイズした台湾は?」と思ってしまう.
子供の頃の思い出話を続け、魔術師も登場する。
もちろん住まいは台北の街のスラムの一つであった中華商場だ。
その後のそれぞれの人生には、数々の試練が降りかかっていたのだった。
再会の一ヶ月後、 電話がかかってくる。
その名前がみんな台湾名なので、なぜかほっとする。
数字に興味がある私はタイトルに2つの「9」を見たとき、何か深刻な頭にも心にも辛いような、恐れのあるものを読ませられるような気がしたが、その予感は的中してしまった。
なぜか高いところの話が多く、 少年たちも屋上で遊んだりしていた。
中華商場の高いところから台北の街を見渡す風景などがあるとは期待してなかったから、 少年たちが、目に見えるものを楽しむ様子が楽しかった。
しかし最後はあまりにもショッキングな短い谷間のような話で、それもぐんぐん上がるエレベーターで終わるのだった。
ヒヤッとしながらも、 複雑な余波を残す短編であった
作者は1992年に取り壊された中華商場のかつての面影を残したくて、この短編小説を考えたと言う。