「ご褒美」( 続「台湾監獄島」)by マサコ |
中古なのに、新品同様で帯も付いている。
2005年に非売品として発行された1500冊のうちの1冊。
それまでに4000部発行なので合わせて5500冊しかない
今、目の前にコアさんがいらしたら、どんな事を話そう?
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再版に尽力された石田洗先生の「再出版によせて」より
「近年の台湾研究ブームの中で
コア・キフォアさんの「はじめに」より
「戦後、台湾人は植民地から開放された喜びに酔い痴れ、
「(略)1947年2月末に、2.28事件が起きて、
はじめにの締めくくりのコア・キフォアさん作成の詩
今日もなお生きている
この島で生まれ
この島で育った僕だけど
ある朝目が覚めたら
地図の色が変わっていて
自由を失っていた
怒ることは許されない
口を奪われ
地べたを這わされて
ふんぞり返った奴隷主の
侮蔑の言葉が胸をえぐる時
僕らはただ黙ってこらえている
たまりかねて目がうるむ
だが涙は流さない
いつかは
いつかは自由な身になれると
毎日自分に言い聞かせ
僕らは今日もなお生きている
涙ぐみながら今日も生き続けている
中国の台湾支配は、私たち日本人がアメリカに支配された形ではなく、
240頁のコア・キフォアさん作成の詩、
「緑島の波の音」 政治犯生活の思い出
秋風吹く頃には
刑期を終え
妻子待つわが家に
帰れる筈だった
たが夢は無残に砕かれて
私は一匹の働き蟻になっている
昼は強制労働
夜は打ちひしがれ
疲れきった身を引きずって
高い塀の外から伝わってくる
波の音を寂しく聞いている
家を離れる時
一番大きい子はたった五つ
赤ん坊だった末っ子は
妻にだっこされていた
あれから十二年
子供たちにはずっと会っていない
何も知らない子供たちは
妻の苦しい作り事を信じて
「パパはアメリカにいる」
と思っている
愛しい妻よ
許してくれ
この長い年月は
涙の日々だったろう
君の苦しみはよくわかる
だが虐げられている
芋同胞のことを思うと
どうしてもこの醜悪な老帝国を
愛する気になれない
労働キャンプの
鉄窓から吹きこむ
離れ島の潮風が身にしみる
仲間が皆寝静まった後
一人固い木造の床の上に座って
涙ぐみながら
寄せては返す
波の音を聞いている