黒岩重吾著「影の旅行者」 byマサコ |
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2018年 11月 28日
昭和38年の春、東京の銀行現金盗難事件で濡れ衣を着せられかかった阿戸川が主人公。 黒岩流ネーミングに感心する。 どこにでもいるような男の人だけど、阿戸川という姓はちょっと珍しい。 「川」が付いているのが、主人公の運命のように流れていく暗示のよう。 この小説をユーモアラスにするのは、深刻な家族関係の盛り込みかもしれない。 お茶の間ドラマ顔負けの、本格派小説における家族劇のドタバタ。 阿戸川は、旅行社(表向き)だが闇ドルで儲ける経営者・瀬村に誘われ、就職。 ショボい生活から、金回りが良くなり、夢を膨らませ続ける。 現在とは違いかつての日本では、会社とバーがこれだけ結びついてるとは 黒岩の小説を読むまで知らなかった。 と共に情事も多く、何度読んでもその度毎に状況描写や心理描写が違い、 飽きることがない。 奈良時代のように、昭和日本で韓国・中国も絡んでくるから面白い。 週刊文春に、丸1年掲載されたこの小説を数時間で読んでしまう。 古本屋からは時々、丁寧に硫酸紙で包まれた本が届く。 その手触りの滑らかさのせいで早く読めるような気がする。 この文庫本には解説がない。 スパイ合戦の最後にはCIAが少し出てくる。 深刻でないのか、読書中も笑い転げるほどコミカルだった。 少しは社会慣れしたのかな。 渡航制度のひずみに生じた “影の旅行者”。 名も祖国も持たぬ男女たちが暗躍する組織の実態は... これは出版社のキャッチコピー。 面白い映画や話し相手もいない時にお勧めします。 「香港はお初めてですか。いや面白いところがありますよ。今夜はゆっくりご案内します。良い女もお世話いたしますから、香港の夜を充分味わって下さい」 「私は何をするんです」 阿戸川はぼんやり尋ねた。 後頭部の中がえぐられたように空白な感じであった。 「そうですね、先ず、名前を変えていただきましょうか。阿戸川、という名前は忘れていただいくんです。あなたはこれから中国人になる訳です.......」 人間の抹殺ではないか。 たとえ阿戸川は殺されなくても、今までの阿戸川は死んだのと同じであった。 今や阿戸川は、影の旅行者の一人になったようであった。 文春文庫 「影の旅行者 下」 1977年8月25日第1版 p.329 いつもながら最後が決まっている。 ************************
by grpspica
| 2018-11-28 11:30
| 本の感想など
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