みどり病院 byモニカ |
みどり病院は母がお世話になった病院だ。
当時はみどり診療所だったと思う。
具合が悪そうな母を見かねて、兄がレントゲンの予約をし、
診ていただいた医院で、食道がんが見つかったのが2月初め。
(その夜、スキーツアーに行く予定を急遽キャンセルした)
大きい病院でちゃんと見てもらって下さいと言われ、
県立がんセンターに。そこでも、同じ診断。
母の体力から、手術は無理。
打つ手はない。
入院すれば、無益な抗がん剤の治療が始まる。
それはこちらが願い下げ。
で、在宅で行くことを家族で決めた。
まずは賛否両論の丸山ワクチン。
問題は主治医となってワクチンを打って下さる先生探し。
やっと「来院するならしてあげます」
と言って下さる先生を見つけ、お願いすることに。
でも、最後までは付き合えないとのこと。
次の先生を探さなければならない。
という訳で、次の先生探しが始まった。
どうなることかと思っていたら、
4月15日に開院するみどり病院の情報が入って来た。
家族でお世話になっていた鍼の先生からのお話。
直ぐにお願いに上がり、OKをいただく。
ワクチンの見解は、否定的。
「しかし家族の意向であるならやりましょう」と言われた。
「合わせて、私が効果あると思うホルモン療法をしたい」
と言われ、その治療がいいと思う点を話してくださった。
投与することで副腎は刺激を受け働いてくれる。
副腎が反応出来る間は結構楽に過ごせる。
反応しなくなったら最後だけれど、一番いい方法だと思う。
といったようなお話だったと思う。
ここまで話して下されば、信頼も深くなる。
始まった在宅治療が3ヶ月半程続き、7月末に母は逝った。
6月末でも、「このままいつまでもいてくれるのかな」と思う程に、病人ではあっても元気そうだった。こんなに元気なら我々の生活の態勢を組み直さなければ.....と思った位だ。
その旨お話しすると、「副腎の反応が落ちるのも時間の問題」とのこと。信じられない思いだったが、7月中旬には、状況が変わり、そのままになった。
思い返せば、先生のおっしゃるとおりだった。
今夜(12月1日)、10時NHKで放送された
「さまよえるがん患者」
そこには大きくなったみどり病院が映し出されていた。
そして久し振りにお顔を拝見する額田先生。
今も変わらず、患者の立場に立つ診療を目指しておられる。
診療所開設当時と同じ理念をもって活動されているご様子に、母の時を思い出し、感謝の念で一杯になった。
心を尽くせば、経営が危ぶまれるような状態では
本当に患者のことを考えたくても、
考えられなくなる病院も多くなるだろう。
難しいことはわからないけれど、
打つ手が無くなったら、治療してもらえないなんて、
どんなに不安だろう。
みどり病院が無ければ、我々家族だって、どうなっていたか。
幸い母は痛みもなく(症状として出なかった)済んだけれど、
診て下さる先生がいて下さったから、痛みが出ても対応していただける安心感があった。
それが病院を放り出されて、みていただける場所も無い患者になれば、どんなに不安だろう。
とても家族だけで対応出来る者ではない。
昨今よく耳にする医師不足。マンパワー不足。
この国では病気になることも出来ない状況なのだと
だめ押しのように知らされた番組だった。
写真 今年もきれいに咲いたさざんかです。