すみれとフランス語 byマサコ |
中学生の時、3月に図書室に呼ばれた。
国語の先生が「元気がない」と心配して、すみれの花束を下さった。
私は、何もいわずに泣いてばかりいた。
50本はあろうかというすみれの花束を家に持ち帰ると、
上の姉が「すごい花束」と感心していた。
先生は78才で今もご健在。
昨日,電話をして「すみれ」のお礼を申し上げると、
「あのすみれ、どこから来たのか知ってる?」
と話して下さった。
それは、私の通っていたフランス系カトリックの幼稚園の庭。
大学生の頃そこの神父さまに、フランス語を習っておられ、
「庭のすみれがきれい」と言うと、1株掘り起こして下さったそうだ。
その神父様、どうもカトリックだった私の祖父のお葬式をして下さった方ではないかと姉がいう。
その後、祖父の教会に転勤されたそうで、時期的に重なるようだ。
先生は庭にすみれを見に行かれた。
「来年、花をあげるわ」
すみれといえば、父のお墓にも咲く。
父がキャンパスから家に持ち帰ったすみれは消えてしまったのに、
お墓ではそのすみれと同じ花が咲く。
夢で花が咲いた事を教えてくれた事もあった。
ここ数年、上の姉が3月末に白い花が多い私のガーデニングにパニックになるみたいで困っていたが、父は37年前の3月下旬に亡くなり、お葬式があった。
きっと彼女は、これから父に代わって母や妹2人の事を背負っていかなくてはと、一人、肩にかかる荷物が辛かったのだろう。
同じ季節に同じ風景が再現して、そのトラウマがぶり返して、白い花の好きな私と衝突していたのではないか?
人の記憶と関連の恐ろしさよ!
フランス語にすみれはよく似合う気がする。